LPPT's Blog

年中有休

博士の夢

二次創作です

 

暗い、寒い
ここは?
分からない
何も見えない
私は震える
暗闇の恐怖に、体温が奪われ、体が「死んで」いく恐怖に
死ぬとどうなるのだろう
私の意思はどこに向かうのだろう
そもそも、今までの私は何を考えていたのだろう
分からない
分からない事が怖かった

どれだけの時が経ったのだろう
ふと、目の前の闇が動き、光へと変わっていく
いや、この闇は壁?
視界がすべて光へと変わった
眩しさに目を細めると、光の先に、少女が立っていることが僅かに認識できた
䉔ꍐ堟㜫より雒㸊൯덿のダウ㸊൯ローꍐ堟

コータスの少女がこちらに手を伸ばす
やっと助けが来た、早く助けてくれ
こちらの手をとった少女は、そのまま手を引き、
直後、何かが砕ける音がした
少女は、手を持ったまま離れていく
どうして、と声をあげようとして気がついた
私は既に氷となっていた、引きちぎれた私の腕だったものは、

体が跳ね起きる
ベッドに座った状態で意識がハッキリとしていく
ここ暫く生活し、すっかり慣れ親しんだ部屋の壁が視界に広がる
「ロドス・アイランド製薬」
私を棺から助け出してくれたコータスの少女は、自らの属する組織の名前を教えてくれた
私は以前、この組織に属していたらしい
らしいと言うのは、私に記憶が無いから、私は分からないから
ふと、視線を落とすと私の手が赤く染まっていた
それだけでは無い、どんどん赤が溢れてくる
ああ、これは血だ
私が殺した
私が殺させた
何人もの血、血、血
血は止まらない
お前は殺したのだ、何人も、何人も

目が覚める
ここ暫く生活し、すっかり慣れ親しんだ部屋の天井が壁に広がる
荒れた呼吸を整え、ゆっくりと自身の手のひらを見る
赤くはない、血も流れない
私は記憶を辿る

コータスの少女は言った、
「ドクターはロドスにとって大切な人です」
「ドクターならこの場を切り抜けることができる…私を信じて下さい。そしてドクターの思うがままに、ドクターの慣れている通りにやってみてください」
戦火の中で少女の声はハッキリと聞こえた
ここ切り抜ける?私が?
信じられなかった、一旦どうやって、
だが、次の瞬間、更に信じられない事が起こった
私は指揮を取っていた
まるで長い間そうしてきたように、ごく自然に
オペレーターに簡潔に指示を出していく
自分でも見たことのないポイントに向かわせ、警戒する方向を指示する
そして、まるで未来でも見てきたかのように、私が指示を出した通りに敵が来た
オペレーターは一瞬驚いた表情を見せたが、次の瞬間、任務を遂行した
その次も、その次も
私は生き延びるのに必死だった
ともかくこの戦場から脱出しなくては
オペレーターを向かわせる、指し示したかのようにその場に敵が現れる、敵が地に伏す
戦場を抜けて安全な場所にたどり着いた時、皆が私を褒め称えた
想定より少ない被害で切り抜ける事が出来たらしい

それからは、常に敵がいた
騎士の都市で、常夏の都市で、ジャングルの奥地で、広大な大地で
必死だった
自分も、周りのオペレーターも、見殺しになんて出来なかった
そのうち分かったことがある
敵がこれから辿るルートが見えるのだ
これは、誰にも見えないらしい
私はそのルートを、目を凝らして脳に叩き込んだ
一つの見逃しもしてはならない
頭痛がして、視界が霞んだとしても
私の周りの人間が誰一人として倒れてしまわないように
その為に、一体幾つの命を奪ったのだろうか

これから、幾つ、命を奪うのだろうか
私は一体いつ、『私』になれるのだろうか